モリタ会長ブログ
哀悼の意。
今年も終わりというときに、訃報を聞きました。
教育学者の大田堯氏が100歳でお亡くなりになりました。
大田先生の本を何冊も読むうちに1度は講演を聴いてみたいと思っていたのですが、叶わぬ夢となってしまいました。
先生が生前中何人かの方から講演を聴いたことを聞かされ羨ましいと思っていました。最近は講演できる状態ではないとも聞いていたのですが、本当に残念です。
昨年『大田堯自選集成』全4巻に続き『補完』を刊行、記念として特別公開講座「ちがう・かかわる・かわるー地域の中で教育を問う」をテーマに開催され、最後に大田先生が挨拶をされた言葉を記載します。
「今日の社会は、テロ、理由なき殺人と困難なことばかり抱えている。孤独と格差がどんどん広がる。この背景には、自分の意思で動いていないやらされ社会がある。生物の特徴は、自らの思いで自らを育てること。教育は、自分のしたいことを見つける中で好きなことで仕事をし、社会に役立つ自分に育つこと。そういう育ちあえる人間関係づくりを全国の仲間とすすめていきましょう。」と述べられたそうです。
『育ちあえる人間関係づくりが教育』ということについて、あるお話を本に書いておられます。
ある学校で、A先生が生徒に質問をしました。B子さん、「雪が溶けたら何になりますか?」 B子さん「はい、雪が溶けたら水になります。」 では、C子さん、「雪が溶けたら何になりますか?」 C子さん、少し考えてから自信なさそうに「雪が溶けたら春になります。」 先生「雪が溶けたら水になるでしょう。」 C子さんはB子さんの妹さんで、お姉さんと違うことを言わなくてはと思い、考えての答えだったそうです。家に帰りお母さんに、私が言ったことおかしかった、と聞いたそうです。お母さんが大田先生にそのことを手紙に書いて送ったところ、大田先生はこう言われました。『お子さんの言ったことはおかしくありません、それを認めなかった先生に対しての教育が間違っています。」
私はこう思いました。A先生は生徒さんたちと一緒に育ちあえる機会を逃した、何故そうなったのかを考えなくては、この場だけではなく、現在そんなことが頻繁に起きているのではと。
ところが、世間に広まったのは、「雪が溶けたら何になる。」「春になる。」子供の感性は素晴らしい、頭が柔らかい。
さて、皆さんはどう思われるでしょうか。
外を見ると、ちょうど今雪が降っています。