掲載誌Wedgeの働く女性活躍インタビュー記事
先日、雑誌社Wedge編集者の鈴木様とジャーナリストの小林様に弊社の女性の働き方におけるインタビューを受けました。全国的に非正規雇用が多くその中でも女性が結婚、出産し社会的に不利になる中で、弊社はどう女性の雇用を考えているのか?実際に現場で働く女性2名をインタビューし記事に取り上げてくれることになりました。
Wedge 2023年8月号Vol35掲載 以下記事抜粋
1935年創業の同社は、富山県と石川県を地盤に美容室やエステサロンにパーマ液やコスメなどの美容商材を卸している。美容商材を提案・販売する営業職は「美容ディーラー」と呼ばれ、美容師向けの講習会やイベントを開催するほか、美容室の経営コンサルタント業務も行う。
社員は41人。うちパート社員は5人で原則、正社員で採用している。恒常的に残業が発生しがちで〝男性の職業〟と言われる美容ディーラー業界で、同社は子育てしながら働く女性社員が増えている。社員の約3分の1が子どものいる世帯で、そのうち未就学児と小学校低学年の子育て真っ最中の女性社員が6人。2019年以降、産後の復帰率は100%だ。
同社の育児と仕事の両立支援には、①ライフスタイルに合わせた勤務時間の設定、②1日6時間労働の短時間正社員制度の導入、③有給の看護休暇と介護休暇の導入という3つの柱がある。
営業職の出勤時間は8時30分か9時かを基本に選択し、さらに子どもの送迎など個々の生活時間に合わせる。また、産後の就業継続のネックとして退勤時間の問題がある。特に、大きなサロンは閉店後に講習会を行うことがあるため、夜に仕事が入りにくい中小サロンに担当を変更している。さらに、子どもが熱を出すなど急な休みに対応するため商材の仕分けや配達をエリアごとにまとめて分担し、社員同士が助け合っている。
育児・介護休業法では子が3歳未満までの所定労働時間を1日6時間にする「育児短時間勤務制度」を企業に求めているが、同社は子育てや介護など理由や期間を問わない1日6時間勤務の「短時間正社員制度」を約6年前に導入した。現在、3人が短時間正社員として働いている。
美容ディーラーの三箇さんは、第一子の育児休業を取得し、今年5月に職場復帰したばかり。産前はフルタイムの正社員だったが、短時間正社員として復帰した。
「美容サロンでは私の悩み事まで話せる関係があり、早くあちこちを訪問したいです。ただ、育休中はずっと赤ちゃんと家で二人きり。大人と話すことが少なかったので、今は仕事のリハビリ中です」
三箇さんの夫は朝晩が遅い仕事であるため、現在はワンオペ育児の状態だという。保育園の送迎時間に合わせ、勤務時間は8時45分から15時30分まで。子どもの急病にも対応できるよう自宅に近いエリアに担当が変わった。営業車での通勤が認められ、最後に回る美容室から直接に保育園にお迎えに行けるよう配慮されている。美容ディーラーは通常60~70件の担当を受け持ち、美容室の客層に合う商材を提案していくが、〝リハビリ中〟の三箇さんは担当サロン数を30数件に抑えてのスタートとなった。
角崎社長は、「育児中はイレギュラーなことはつきもの。短期的な生産性は求めず、長い目で見ることが必要です」と話す。同社は中小企業ならではの家族的な雰囲気だ。普段の会話の中で女性社員が「早く2人目が欲しいです」と談笑するほど、経営層と社員の距離が近い。
両立支援は都度、社員の声をもとに具体化してきた。日曜日と月曜日の完全週休2日制であることに加え22年3月から祝祭日を会社の休業日とし、同年4月からは看護・介護休暇が有給になった。松澤宏至取締役総務部長は「皆でルールをつくっていこうという、ボトムアップ型の企業風土があります。私たちの企業理念は顧客に『寄り添う』ことですが、社員にも寄り添い、それぞれが持つ力の活きる働き方を目指しています」と語る。
角崎社長は、子育てで辞めることなく正社員として就業継続する意義について説く。
「創業から88年。長いおつきあいの顧客が多く、『仕事は人につく』と考えています。それぞれの美容室の生い立ちや経営状況はもちろん、美容師の家族構成まで知り尽くしたうえで地域の中で共に歩んできた歴史があります。それを継承していくには、社員が正社員として長く働き、顧客との信頼関係を築いていくことが重要なのです。だから男女問わず辞めることのないよう、一人ひとりに寄り添うことが大切なのです」
記事・文章提供 株式会社Wedge 編集者 鈴木 賢太郎様/インタビューレポート 労働経済ジャーナリスト 小林 美希様